あの日を境に俺たちは彼氏彼女の関係になった。仕事中、電話に出れないとLINEに恐ろしいくらいの連投がある。彼女の電話は長く、俺が電話を切ろうとすると、「あと10分だけ…!」と切ない声で哀願してくる。付き合い始めのせいかも知れないが、俺はそれがちょっと嬉しかった。
彼女が自分に依存してくるのが分かる…。俺はその責任の重さを感じながら、彼女との関係をどう楽しくしていこうか思いを巡らせた。
けど、三日後、彼女と電話している時に、担当だったホストから着信があり、彼女はそれを優先させた。
一時間後、彼女から着信があり、「やっぱり、友達に戻れないかな?」と別れを告げられた。
ホストから何かしらの営業があったのだろう。彼女の心にまだ迷いがあったのを知っていた。ホストと電話して、自分が彼のことを好きだと認識したのだろう。
彼女は泣いていた。
苦しそうだった。そんな風に泣かれると俺も辛い…。彼女は彼氏彼女の関係だと縛られて苦しいらしい。
事実、俺はこの数日間、彼女を苦しめているのを感じていた。
俺は別れることに承諾した。
数日後、俺は彼女と地元の駅で会うことにした。彼女の体調はまだ悪かった。
俺はたぶん傷付いている女に弱いんだ…。
俺たちは友達として付き合うことにした。彼女には他にもアプローチしてくる男がいる。それが彼女に好意があるのか、体目当てなのか、金目当てなのか俺は知らない。
ただ彼女のように独特の負のオーラを出す女に弱い男はいるはずだ。俺がまさにその典型で、「守ってやりたい」と思ってしまう。
友達で時々、セックスする関係の方が俺も束縛されずにナンパ出来るから楽だ。
でも、俺は独占欲が強く、セフレでさえも他の男と共有するのが我慢ならない。
デパ地下のフードコートで彼女にご馳走して貰う。俺は遠慮したが、この前のお礼だから…と引かない。「あぁ、そういう所が、貢ぎ体質なんだよ」と言ってやりたかった。
カラオケに入り、数曲歌いながらも、お互いのことを話した。一度セックスした相手なのに、この前のデートから初めて向き合っているようにも思えるし、もう何年も付き合っている間柄のようにも感じた。
「出会いは最悪だったね」と彼女が微笑った。俺はナンパ男で彼女は風俗嬢だった。
あの時とはお互い別人みたいだ。その事を彼女に伝えたら、「私もそう思っていた。皇は凄く優しくなった。あの時も優しかったけど、今は私を大事にしてくれてるの…分かるよ…」と俺の目をじっと見つめる。
俺はキスするタイミングかと思って、彼女の頬に手を添えて顔を近づけた。すんでのところで、「もう、友達だから…」と、そっぽを向かれる。
「皇は私なんかより心も体も健康な人と一緒になった方が幸せだよ…」とうつむく。
俺はそれを否定しながら心の中で、「その通りだな…」と思ってしまった。俺には他にも選択肢はある。何も彼女のように心と体を病んでいる女を選ぶ必要はない。さらに風俗経験もある女だ。一体、何のメリットがある?
彼女の言うことは正しい。俺は彼女に好意を失くした時、彼女の風俗の経験を憎んでしまうかも知れないと思った。
「雪斗(担当だったホスト)のために歌っていい?」と俺に聞く。俺は笑いながら、「おう、歌って、吐き出せるもん、全部だしちゃえ」とおどけてみせる。
彼女は歌いながら、少し泣いてた。
カラオケは残酷だ。この曲を聴く度に、彼女の涙を思い出してしまう。
歌い終わった彼女が俺の膝の上に乗っかり抱きつく、「お客さんともこうして膝の上に乗って抱きついていたんだ…」と俺の顔を覗き込む。
俺たちは今日初めてのキスを交わした。そこから貪るようにお互いの唇を求めた。
キスが終わった後、「本当は雪斗とこうしたかった…。皇を利用してごめん…」と彼女は罪悪感に胸を痛めている様子。俺はいまだホストに勝てていない自分を痛感した。思わせぶりな態度を見せるホスト…。「それ営業だろ?」とは言えなかった。
ホストからしたら客は客でしかない。もちろん、人としての情はあるかも知れないが。彼女の望んでいる結末にはならない。
彼女にLINEを見せて貰うと、ホストやらナンパ男とのやり取りが今も続いていた。ってきり、俺とホスト数名の勝負かと思っていたが、ライバル多すぎ! これにはさすがにガクッときた。
時刻は終電間際。彼女はギリギリまで一緒にいたがったが、俺は翌日予定があったのでタクシーに放り込む。彼女は遠慮したがタクシー代5000円をあげてしまう。
女にタクシー代を払うのは初めてだった。彼女は精神が不安定だったってのも理由だが。
俺は電車の中で、タクシーの運転手の名前を確認しなかったのを気にしていた。もちろん、運転手が変なことをしないと思うが、俺は飲み会で酔った女性と相乗りして自分が先に降りる場合、わざと運転手に話し掛け、コミュニケーションをとる。そして彼の名前を言うことで、女性にヘタに手出しを出来ないようにさせる。
これは猜疑心でもあり、配慮なのだ。歌舞伎町で酔い潰れた女をタクシーに乗せ送ることがあった。その名残だと思う。
彼女との関係はまだ続いている。
~皇のナンパ情報~
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ハッピーメール攻略法・詳細
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ナンパ師@ナンパンマン皇
今回のナンパ経費
カラオケ2000円
タクシー5000円
今年のナンパ経費
207、500円
>ヤドカリさん
コメントありがとうございます!
ラオウさんのコメント温かいです。
>らんまるさん
母親から結婚話も出たんですけどね…
なにぶん、連絡が着きません…
ビッチなんで他の男と遊んでいるかもですが…。
今回は俺も先が見えず、振り回されております。
>saiichiさん
今回はシンパシーを感じています。
彼女のことは人としても好きですし、女としても好き。
だから幸せになって欲しい。
>ラオウさん
そう不幸な方へいくんですよ。まるで傷を求め、罰を求めているような…。
ナンパライフは続けます。
彼女いても浮気は辞めたことないですので!(自慢になりません笑)
>アランさん
その気づき大事ですね。
必要なもの、自分の幸せ…。
他人にきめて貰っているうちじゃ分からないですよね。
なんとか良い方向に導きたいのですが、選ぶのは彼女本人ですからね…。
ラオウさんのコメントは共感しました。
以上です。
もう一回、話あって彼女を守って下さいな!
子供と解っていて口説いて結論出したんだからねぇ
わざわざ母親にまで挨拶しておいてこのままある意味『逃げ』はちょっと格好悪いっす…
ストーリーが支離滅裂になってます(^^;;
この結果には驚きました。
人である以上どうしても情は入ってしまいますよね。
結構前から愛読させて頂いておりましたが、今までで1番皇さんが感傷的になられてるように思えました。
結局彼女は彼女の人生を自身で進んで行くしかない、かと思いました。
悲しいですね。
でも、その皇さんの人間味のあるところは人として好きです。
個人的な意見なので気にしないでほしいですが、
僕もそういう闇を持った女の子を惹きつけるんですが、そういった子ってわざと不幸な方向へ走り不幸な自分が好きな場合もあります。
闇に引き込まれないようにしてくださいね。
ナンパライフお互い頑張りましょう!
何とも言えない展開ですねぇ…
そして、彼女自身もなぜそのホストにそこまで依存してしまうのか、分かってないんじゃないかな?という印象を受けました。
でもまだ19ですもんね。私も自分にとって本当に必要なのは何か、何が私にとっての幸せなのか、26になってようやく分かりましたから(笑)
それまでの間ビッチになった事もあったし、不倫もズルズルとやめられなかった。
何ヵ月、何年掛けてでも、彼女自身が本当の幸せを見出せるのを、影ながら祈ってます。